夏に着たい「麻」について 特徴を知って着こなしましょう。

2017.07.20 (木)

麻は、夏になると衣料品で多く用いられる素材です。「リネンシャツ」「リネンジャケット」「麻素材」などの表示は、5月連休明けから、多くのショップで見かけるのではないでしょうか。

今回は麻について記載します。

麻は、天然繊維のなかでもっとも”涼しい繊維”といわれてます。

それは、麻は「吸湿性」「吸水性」に優れているという素材の特徴を持っているからです。麻は綿の約4倍、絹の約10倍の吸水性があると言われていて、さらに吸い取った水分を素早く外に発散します。このため、温度や湿度の高い夏の季節に適しているのです。

また、手触りにも特徴があります。綿などに比べ、少しザラザラとした硬い手触りが特徴の麻ですが、この生地の手触り感を“シャリ感”と表現されています。汗をかいたときに、ぺったりと肌にくっついてしまう時がありますが、麻素材は、このシャリ感、適度なハリ感のおかげで、汗をかいても身体に張り付かないので、夏を快適に過ごすことができるのです。

昔から、高温多湿だった日本では、夏に衣類や寝具などに利用されて、貴重な素材だったそうです。

麻の素材特性を簡単にまとめました。

<特性>
① 涼しい・・・伝導が早く、すぐに発散。水分の吸湿・発散も最も早く、涼感がある。
② 衛生的・・・通気性に富み、細菌の発生を防ぐ。バクテリアの発生率が低い。
③ 高強度・・・水に濡れると強度が60%アップする。(羊毛の4倍、綿の2倍の強度となる。)
④ 弾力性に乏しいため、シワになりやすい。
⑤ 摩擦により毛羽立つため、白化しやすい。
⑥ とくにリネンは、水洗いにより腰がなくなり、柔らかくなる。
⑦ 虫に強く、カビに弱い。
⑧ 弾性回復率に乏しいため、リブ組織は伸びやすい。
⑨ 洗うと縮みや、めくれて反り返ることがある。これは特有のハリと風合いを出すために、糸に撚りを強くかけているため。
 

麻は、その性質のため夏に好まれるのですが、一方では「しわが気になる」「白っぽく色が抜ける、色がかすれる」などもデメリットとして挙げられています。

しわが気になるのであれば、動きが大きく座ったりすると体重がかかるボトム(特にパンツ)で麻を選ぶよりは、羽織物(シャツやジャケット)などトップスで利用した方が良いでしょう。
色については、自然に生息する植物繊維ですので、染めの工程で染料が繊維の芯までは入り込むことができないのです。表面に近い部分にしか、色が付かないため、摩擦を受けると表面が擦られて、白っぽくなります。濃い色ではなく、白や生成りの色を選ぶことで、色抜けが感じにくくなりますし、夏に清涼感が加わって良いでしょう。

性質を知って、その特徴を含めて「麻」ですので、シンプルに魅力として捉えられると良いですね。

さて、麻についてはもう少し触れてみます。

世界には、数十種類の特徴の異なる麻がありますが、実は衣料用繊維として「麻」と品質表示できるものは、ラミー(Ramie)とリネン(Linen)の2種類だけです。
それぞれについて簡単にまとめます。

◇Ramie ラミー(苧麻:チョマ)
・高さ約2.5m
・繊維は太く長い
・天然繊維中、最もシャリ感があり、涼感・腰がある。
・色は白く、絹のような光沢がある。
◇Linen リネン(亜麻:アマ)
・高さは約1m
・繊維は細く短い
・しなやかで、絹に近い。
・色はリネン特有の黄味。

ご自身のお洋服を購入する時、もしくは麻素材をお持ちであれば、ラミーかリネンかをチェックしてみると面白いです。

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