冬のトレンドキーワード「ファー」とアクリルについて

2017.11.10 (金)

この秋冬は、ファーが人気です。
ファーの洋服もそうですが、秋口から目立っているのが服飾雑貨への展開が本当に多く見られています。
サンダル、シューズやバッグの一部(例えば持ち手に)に、ピアスに、ハットに、と多くのアイテムにファーが取り入れられています。
リアルファーは、動物愛護の観点と加えて、本物の皮革は流通も少なくて、また高価格であるため、なかなか手が出ないのが現実です。
では、今、ヤング市場にまで広く流通している「ファー」は何なのでしょうか?

もともと天然繊維を加工して衣類などに使用していたのですが、科学が発達するにつれて、天然繊維に似せた繊維がどんどん生まれてきました。
例えば、高価な「絹」は手に入りにくいのと、その特徴によって水に弱いなど弱点もありますが、その美しい光沢を求めて開発されたのが「レーヨン」です。トロミ感のある柔らかなドレープを生かしたデザインが、抜け感のあるシャツやブラウス、ワイドパンツなどに使われていましたね。
ファーに似せて開発したのが、「アクリル」です。
もともとウールを求めてアクリルが生まれたのですが、そのウール風の糸の織り方や後加工の工夫で、ファーに似せた素材が出来るようになりました。
すこしだけ構造について記載します。
織組織の構造からみると、フェイクファーは「ハイパイル・ボア」という織物です。綿で織り上げるタオルのようなもので、生地は基布にパイル(輪)がついている立体構造の生地を作り、パイルの上の部分を切り(引っ掻いてパイルを切断するような感じ)、毛の部分を作ります。このパイルを長くすると長いファーができます。
様々な太さや長さを組み合わせながら、ラビット風やミンク風、フォックス風、ラクーン風など、それぞれの特徴に合わせて、表情を作り出します。
アクリルは、繊維の中でも発色性に優れていて、本物の皮革では出せないような色をつけることが可能です。また、抜染も可能で、豊かな発色によって色の表現が意図に合わせて可能です。これはすごい性能で、ファッションの繊細な見せ方の違い、特徴を出す事ができます。
 
技術の進歩、素材の開発の進歩によって、私たちはよりファッションを楽しむことが出来ています。
素材の誕生から進歩も含めて、作り手から発信されるのも、「ファッション」です。
表面に見えている完成品を、ちょっと見方を変えて、その素材の性質について思いめぐらすのも楽しいかと思います。

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