服は用途によって、求められる機能性が変わってきます。例えば「ストレッチ性」でいえば、スポーツをするなら、動きを止めないように十分なストレッチ性が必要になりますが、お仕事でのスーツでは、機敏な動きがそれほど要求されないので、座る、立つ、荷物を持つという日常的な動きに対応できるストレッチ性があればよいのだろうと思います。
さて、たとえばお仕事で着用するスーツやそれに準じるオフィスカジュアルといわれる洋服を着ているとき、うっかりしゃがみ込んだり上の方の荷物を取ろうと肩をまわしたりして、びりっと縫い目から生地が破れてしまったことありませんか?
女性ならタイトスカートで座ったとき、男性ならパンツでしゃがみ込んだ時などに、生地のお尻の部分に力がかかって、縫い目から生地が破れるというか縫い目を支えている生地が、かかってくる力に耐えられなくなってほろほろとした生地から縫い目が抜けてしまうようなことがあります。これを滑脱といいます。
ジャニーズのだれかだったと思うけど、ステージ上でダンスをしていて、着ていた衣装のスーツのパンツのおしりの縫い目がぱっくりと割れてしまったという話を聞いたことがあります。
動作によって力がかかる場所の縫い目は、当て布がされたりして生地を補強する、工夫がなされているのですが、それでも予想以上の力がかかる場合は注意しましょう。作っている側としても、まさかスーツを着てダンスを踊ることを想定していませんし、スーツの方も驚いていると思います。
そのアイテムと期待される機能性にギャップがあると、トラブルにもなりかねません。違う用途で利用する場合は、本来の着用場面ではないことを理解して、利用してくださいね。