服作りの素材選びは、料理人の材料選びと一緒です

2021.04.28 (水)

服に使う素材には、たくさんの種類があります。
何でもいい、という方もいるかもしれませんが、やはり素材は着用する私たちにとっても重要ですし、そこに作り手もこだわっています。

優秀な料理人が、料理に使う素材にこだわることと一緒です。よりおいしい料理を出したいと思ったとき、いまある素材に適した調理をすることも必要ですし、あるいは料理に相応しい材料を探して産地を回ったり、野菜の生育方法を確認したり、土をみたりと、こだわりの素材を探して使うこともあるでしょう。
美味しい料理をつくるには、素材のこと、特性を熟知している必要があります。
 
同じように、優秀なデザイナーは、その服をデザインするために、形だけを考えているわけではありません。その服に合う素材はなにか、なんの繊維でどんな糸で、織り方はどうか、光沢や肌触りやドレープの出方などを計算して、素材をチョイスしています。
アパレルメーカーにいたとき、あるデザイナーさんが、素材展に行った時のことです。真っ白な織物が、50種類ほど展示していた会場で、右の入り口から50種類並んでいて、真ん中から今度は左の入り口に向かって同じ50種類が並んでいる、という並べ方をしていました。どちらの入り口からでも会場中央まで歩くと全種類の展示素材が確認できるような導線です。
デザイナーさんは、右の入り口から入り、会場中央まで進みながら、5種の素材を選びました。そして左の入り口まですすみながら、素材をピックアップしたのですが、またすっかり同じ5種類を選んでいきました。
素人が見れば、その違いがわからないという「白」だけの素材展で、その小さな素材の特徴の違いを捉えています。熟知しているのです。本物の、プロのデザイナーって
こうなんだな、と感動しました。
 

素材によって、見え方も変われば着心地も変わります。服を買う前には、どんな素材が使われているのか、みなさんもチェックしてみてください。その服にその素材が適していると選んで使っていますので。

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