前回のコラムで「絹がどうやって作られるのか」を書いています。今回はその続きで、絹の魅力について書いていきます。
絹は、蚕が作り出すので、大量に生産することができません。蚕が急に増えれば別ですが、急に数が増えることはないですし、一匹の蚕が作り出す絹の量が急に増えることもありません。絹は生産量が少ないため、希少価値が高いのです。なかなか生産できないということから高価になるのです。
絹の価値は希少性だけではありません。魅力がなければ、なかなか生産されなくとも誰も困りません。絹には、ほかの素材にはない魅力がたくさんあります。
魅力のひとつには、美しい光沢が挙げられます。絹は天然の素材です。蚕が吐き出した糸、というとちょっとイメージが悪くなるかもしれません。絹は生きているものが作り出していて、その糸には、吐き出したときに自然に撚り(糸のねじれのこと)が掛けられています。その自然の撚りは光の反射によって自然の光沢を生み出します。それは人工では生み出せない光沢です。
また、なめらかな手触りもシルクならではの魅力です。糸が細いので、柔らかな素材となり、ドレスなどにすると美しいドレープが見られます。
吸湿性、吸水性にも優れています。絹の繊維のなかには空洞になっている部分があります。その空洞に、水分を閉じ込めることができるので吸水性や吸湿性が良いのです。そしてその水分をすばやく放出することができます。シルクがネクタイやスカーフに重用されていますが、その理由がわかりますね。
またシルクは熱を伝える力(熱伝導率)が低いので、夏の暑い気温をそのまま身体に伝えることをしません。また冬の寒い気温をそのまま身体に伝えることもありません。夏は涼しく、冬は暖かく着用できるのは嬉しいですね。
絹は、美しい見た目とその性質も私たちを魅了しています。