着用している服から他のものに色が移ったことはありませんか?
・デニムのインディゴの染料が移った。
・バッグからコートに色が移った。
着用する際に触れるところ、これが摩擦を受けることで、色を出している染料が他のアイテムに移ってしまうトラブルも発生することがあります。
アパレルメーカーは、製品化するにあたって「耐摩擦試験」を行って、使用する生地が摩擦によって色がどの程度移るのかを調べます。この試験は該当の生地に試験用の白い生地を当てて、一定の力を加えた状態で、一定のリズム一分間に擦り付けていき、白い生地にどれほどの色移りがあったのかを測るものです。基準の範囲であれば合格、と程度によって使用するしないを決めていきます。
私が勤めていたアパレルメーカーは、他社に比較しその判定基準値を高く設定していました。ただし、摩擦しても全く色が落ちない、移らないということではありません。程度が良いものは衣服として使用するに、会社として合格だと判定基準を持って生産しているのです。
詳細を忘れてしまったのですが、自社商品がコートで、他社製品の白いスカートに色が移ったか、自社製品がスカートで他社製品の白いコートに色が移ったか、とにかく自社商品の濃い色が他社製品の白いアイテムに色移りしたというクレームが発生しました。お客様は終日着用していた。雨が降って少し濡れた。という状況が確認できました。
自社製品のクレーム品のデータを確認すると、自社内での基準値は合格していました。だたしぎりぎりです。色移りは程度は軽くとも認められていました。しかしブランドとして会社としては合格基準値でした。
結局、修正をクリーニング店に依頼したところきれいに付着した色を取り除くことができたので、他社製品の白いアイテムはお返しすることができました。当該の自社製品は、お客様に品質面をご理解いただけず、返品の処理をしたように覚えています。雨が降っていた状況でより一層環境は良くなかったのですが、色が落ちる製品をお客様が気持ちよく着て過ごすことはできません。
一方では、100%まったく色が落ちることのない生地を選ばなくてはいけないとなると、創造できるファッション性が絞られてしまう懸念もあります。自社製品にはデリケートな素材には注意のためタグをつけています。このクレーム品もそうでした。色移りをする製品を肯定するのではなく、それでもこの素材で製品化したいのだという作り側の意向も、会社の中でみてきただけに分かるのです。
消費者としては、服を購入してタグを切ってすぐに捨ててしまう前に、製品の取り扱いについて記載があれば、一読しておくと良いかなと思います。