2019年秋冬のファッショントレンドについて、キーワード別にまとめてこのコラムで記載しています。今回は7回目。デザインディティールの続きです。今回のキーワードは「パワーショルダー」です。
世界で、もちろん日本でも80年代は経済成長がみられ、活気づき勢いのあった時代です。それはファッショントレンドにも影響していて、力強さを感じる「肩」のディティールにつながっています。この時代の肩はしっかりとパットをいれて形づくられていました。まさにパワーショルダーです。
それから景気は失速し、ファッションも余分な装飾を削いだもの、ジャケットの肩パットもなくなり、「アンコンジャケット」が台頭してきました。アンコンとはアンコンストラクションのことで、コンストラクション:形づくることをしない、つまり肩からパットを抜いてしっかりとつくらない、衿などに芯地をつかわない、など、シンプルな作り方で楽に着こなす、という流れのなかでジャケットの主流となりました。
今年の秋冬においては、多くのメゾンのコレクションの中で、クラシカルの流れ、装飾性の復活、そして力強さの表現が見られていました。なかでもしっかりと大きくつくった肩は特徴的でした。バルマンやバレンシアガ、サンローラン、ステラマッカートニー、シャネル、などで提案されています。日本のファッション市場で、どれほど浸透するのかはわかりません。ジャケット、スーツというアイテムへの需要がどれほどなのかにも関わりますし、キャリア世代においては仕事への利用というニーズであるならば、なかなか取り入れることが難しいのかも、などといろいろ考えてしまいます。
いずれにしても、コレクションでのデザイナーの提案が、どれほど実際に浸透していくのかを、楽しく見守りたいと思っています。