ファッション性と品質の両立についての考察

2019.02.04 (月)

洋服は販売されるまでに、いろいろなチェックを受けています。
時間を遡っていくと、お店に出る前に検品されて、製造元を出るときに最終の品質検査を受けて、検針チェックを受けて、縫製される前の生地、付属品などはさまざまな事前品質検査を受けています。

 
この縫製される前の事前品質検査の中には、これもまたさまざまな種類の検査項目があります。このなかに、「色落ち」に対する検査項目があります。摩擦によって色が他のものについてしまうかどうかその程度を検査するのです。検査する生地を白い生地に当てて一定の圧力をかけた中で100回摩擦させます。その結果で、製品化に適合するかを決めていきます。
 
アパレルメーカーは、お客様の通常のお手入れによって、製品にトラブルが発生しないようにしっかりと品質面でのチェックが必要だと思います。私が20年超勤めていたメーカーは、品質面でのジャッジが厳しくて、ある意味企画泣かせではあったのですが、それは社員にとっては誇りでした。品質を信頼されている、ということで自信を持って仕事が出来ていたと思います。
 
しっかりとした品質を保つ。これはアパレルのみならずどの分野においても大事なことと思ってます。これは、真理だと、心から思っています。
 
ということを前置きにして、1件、実際に対応した品質トラブルについてご紹介します。
ここから先は、私の主観です。同意はまったく求めません。
 
 
私の辞めた会社が、パリコレクションに出展するようなデザイナーと契約して製造販売していたときのことです。店舗は青山にフラッグショップとして1店舗構えていて、そのお客様は、そのデザイナーの世界観に魅了されたファンの方々、そして富裕層の方々でした。
 
あるシーズンに出した、シルク100%の繊細な織り方をした真っ赤なドレスを購入されたお客様からクレームが入りました。お客様がそのドレスを着用し、脱いだところお客様の皮膚に赤い色が付着していた、というお申し出でした。おそらくドレスの染料が摩擦を受けて色移りをしたものでしょう。
そこで、その素材の事前検査データを確認したのですが、摩擦を受けることで色移りをするその度合いを測る検査項目で、明らかに会社の基準を下回るデータだったのです。製品化の最終判断はブランドに置かれていましたので、ブランドとしては品質面で劣っていることを承知の上で、製品を販売した、ということになります。
結局、色移りに関しては修正ができませんし、今回の製品は品質面において、「着用に不適合である」と判断し、返品をさせていただきました。
 
このトラブルを処理していく中で、私が感じたのは、デザイン重視で美しい色のドレスを出したかったデザイナーの姿勢は、ファッションとしてあるべき姿ではないか、ということです。アパレルはファッションを牽引するという部分も担っていて、言ってみれば、美術・芸術の一部であると思います。制約を外して、芸術を重んじる、追及していく気概がないと、つまらない世界になってしまうのではないか、と感じています。
 
オークションで落札された直後に内包されていたシュレッダーにかかりばらばらになった絵のことが、話題になっていました。これはこれで、芸術として認められています。この絵の騒動で、私は赤いシルクのドレスを思い出していました。
 
自分勝手なルール違反が横行しては、我々の生活は成り立ちませんが、そのなかで認められる面白さがあるならば、その世界は豊かなのではないかと思います。

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