ファッショントレンドを作るもの

2018.07.28 (土)

トレンドは、それを取り入れる人たちが作っています。著名なデザイナーやモデルや、大統領や、だれかが作るものではなくて、それを受け取り、気持ちが動いた我々が作っていくものです。

毎シーズンのトレンドについて、キーワードごとにまとめて記事を書いています。
これを書いていていつも思うことは、コレクション情報がすべて日本のアパレル市場に入ってくるわけではないということ。コレクションでは斬新で注目を浴びても、実際のファッションとしてはなかなか受け入れられないというものも多いのです。
例えば、シースルーの素材が注目されて、コレクションでは透けた素材でのドレスをモデルが着ていたとしても、それを実生活では取り入れることは難しいのです。透けたワンピースで外には出ることは、私たちにはできません。

この秋冬のコレクションにおいて、全身を1カラーでまとめるスタイルが多く見られていましたので、ワントーンスタイルについてコラムにまとめました。これ自体は、特に目新しいものではないです。

ワントーンスタイルに関しては、2016年の秋冬に全身白スタイルが、日本のアパレル市場で浸透したことは記憶に新しいと思います。2年前の冬に、日本のアパレル市場において、「冬のホワイト全身コーディネート」が浸透して、モデルさんだけの紙面上でのトレンドではなく、普通の人が「白コーデ」を楽しんでいたのは、感動ものでした。

なぜかと言うと、コートなど大きな面積を占めるアイテムにおいては、白を選ぶことが、なかなか勇気が出ない方が多いからです。つい黒や茶色などオーソドックスな色を選んでしまいます。これは、トレンドに関係しない色で長く着たいという気持ちと白アイテムの汚れが目立つ、メンテナンスに気を遣うというデメリットなどを考えると手が出しにくいといった理由が挙げられます。

ですので、白は夏にはすんなりと受け入れられるのに(もちろん白には清涼感もあるからですが)対して、冬では、トレンドに入りにくいのです。

白のアウター自体に抵抗があるのに、それを跳ねのけてコート、ニット、ボトム、ブーツとオール白のスタイルが受け入れられたのは、日本人の美的感覚の変化と容認の許容範囲が広がったことと、個を大事にすることが明確になったことを感じました。「冬の白」が台頭した2016秋冬は、記念すべきシーズンだったと思います。
 

トレンドは、それを実際に作っていく人々の、感情や環境が育てていくものです。当然、時代の変化とともに、トレンドの波の大きさや方向性は少しずつ変化していくものであって、色々な要因が合致すると、記憶に残る「ファッショントレンド」が形成されるのだと思います。

ファッションは、取り入れる人々が作り上げています。メゾンによるコレクションやモデルやアーティストは発信しているだけ。それに対する憧れの強さや思いや時代やパワーが形となるのがトレンドです。

大きなファッショントレンドが生まれて、浸透して盛り上がるその一連をまだまだ楽しんで見て感じていきたいと思います。
時々私も参加しながら。

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