私たちは色の効果をふだんから使っています。
知らず知らずのうちに、意識しないで色の力を使っています。
赤と青を比較して、体感温度が違うというコラム、時間の感じ方が違うというコラム、味の感じ方が違うというコラムを書いてます。
色の持つ波長のちがいで、心拍数が変わったり、暑く感じたり涼しく感じたりするので、その効果をうまく使うと、いつも快適に過ごすことができるのではないかな、と思います。
色から私たちは影響を受けていることは、なんとなく感じていましたが、「その影響ってすごいんだ」と感心した実験結果があります。
それが「刑務所」のカラー作戦です。
アメリカに、気が荒い囚人が多くていつも争いが絶えない刑務所がありました。その囚人たちの気を静めるために、内装の色を変える作戦が行われました。グレーのコンクリートの壁や床、黒の鉄格子といった暗く無機質で冷たい印象をうける建物でしたが、壁、鉄格子の色を塗り替えたのです。しかも「ピンク」に!(笑) ピンクといっても刺激的やショッキングピンクではなく、やわらかく可愛いパステル調のピンクに、です。
そうしたところ、囚人たちはすっかりおとなしくなって、争いやケンカが減ったそうです。ピンクは母性の色。おかあさんのお腹の中の色です。安心感ややさしさ、包まれるような気持ちを、人は無意識に覚えているといいます。乱暴者の囚人たちでさえ、心境が変化するのです。厳しい罰則が人を変えるのではなくて、色の効果で気持ちが変わるなんて、すごくないですか?
人は、それぞれ今の状態がちがうから、必要な色もそれぞれです。いまの状態や心持ちにとって、良い影響を与えてくれる色を使えるなら、色の力で人はちょっと幸せになれるのではないかと思います。