2020年のファッションは、昨年から兆しのみられていた「クラシカル回帰」がトレンドのベースとなっています。
クラシカル回帰ってなんだ?というところですが、具体的には「貴族の衣装」がイメージのもとになっています。17~18世紀のヨーロッパの貴族が身に着けていた衣装からインスパイアされたデザインが、多くのデザイナーのコレクションで取り込まれていました。
女性の衣装なら、貴族が着ていたドレスを思い出してください。きっと教科書や絵画や映画などでご覧になったことがあると思います。フォルムが特徴的で、ウエストがきゅっと絞られて、そこからスカートがふわっと裾まで広がっています。X(エックス)ラインと言われている正統派のドレスのシルエットです。
男性の衣装なら、スーツです。特に今年の春夏には3つ揃えのセットアップ(ジャケット、パンツ、ウエストコート(ジレ))が注目アイテムです。ジレは夏に向かっては単独でも出てきそうな予感がします。
さて、このように女性も男性も、トレンドがクラシカルに向かっていくのですが、春先の今まだまだ気温が低くて寒いです。でもそろそろウールのコートやダウンのコートは、季節とはずれてきますので着用するのもちょっと抵抗が出てきます。そんな時にやっぱり着たくなるのが、トレンチコートです。
トレンチコートって、すごいアイテムだと思うんです。廃れることのない「定番アイテム」として、ずっとあり続けています。もともと英国陸軍の戦闘のために工夫されてできたコートですが、今はビジネスシーンはもちろん、ビジネスカジュアル、キレイ目なカジュアルスタイルにも使われて、定番化しています。
バーバリーやアクアスキュータムなどのトレンチコートには、肩に憲章を取り付けるためのエポレット(ボタンで留めるフラップ)がついているものがありますが、これは階級を示すために軍隊では必要なディテールです。ファッションには必要ないのですが、もともとのトレンチコートの用途からみればあって当たり前のものです。
ファッションにおけるトレンチコートを私たちは着ていますので、デザインは簡略化されているものが多く出ていますが、今年はクラシカル回帰の流れの中で、正統派、伝統的というキーワードが見られています。今年の春にトレンチコートを選ぶなら、正統派のデザインにするのが良いと思います。素材もしっかりとハリと光沢のある綿ギャバが素敵です。
ちなみに、全員にこの正統派のトレンチコートが似合うというわけではありません。正統派のトレンチコートは、比較的骨格がしっかりしている人に似合います。華奢な骨格の方が着ると、ちょっと負けてしまうかもしれません。気を付けて選んでくださいね。