東京都では、5月25日に非常事態宣言が解除になると発表されました。
4月8日あたりから、都内の百貨店は店舗休業に入っていましたので約50日のお休みでした。この5月末から6月1日にかけて、百貨店ごとですがだんだんと営業が再開されるようになります。各ショッピングセンターも同様です。イオンモールも5月28日から営業を再開しました。いろいろな業種の物販がやっと再開されるようになります。
どの業種も大きなダメージを受けているのは明らかなのですが、それなかで、アパレル事業というのは他とは影響の受け方がちょっと異なるような気がしています。
アパレル企業の特性として、他業種と違うダメージとして2つあります。
ひとつは、洋服は実用性とともにファッション性をもって購入されるものだということ。外出しないことが推奨されていたので、そもそもファッションという人に見せる自己表現の部類は、影をひそめることになりました。すでにみなさんは去年着ていた服を持っているのです。今年ならではのデザインは、自宅にこもる生活においてどれだけのニーズがあるのかというところ。「衣食住」というけれど、食ほどに最重要事項ではないのです。
二つめは、アパレルが季節と関連した業種だということです。季節性のある商売なのです。気温・気候、カレンダー(行事)に沿って、実に細かく年間スケジュールが組まれています。洋服は今日作って明日売る、という機敏な生産体制をとることが難しいのです。売れ筋を売れるタイミングを引き付けて製造して流通させることは、もちろん小ロットで進められているのですが、それにしても生地や服資材の手配は、もっとずっと前から準備しています。2か月の売り場を失って、その2か月のために準備していた洋服は、お披露目の機会を失いました。それらが6月の休業明けの店頭に並ぶのかというとそれはありません。
腐っていく食料品と違い、保管しておくことが可能なので、農業生産物に関わる方々の苦悩とも違うものですが、洋服は、生き物で、そのタイミングだからこそのニーズに合わせて作っているので、すっかりとチャンスを失った服たちは報われないし、その在庫を抱えるアパレル企業もまた苦しい。
5月末、営業再開した百貨店を中心に市場を見て回りました。どの店舗もMD変更が大変だったと思います。が、売上の勢いを戻すにはこれから売れるもの、これからの気候に合うものこれからのニーズに合うものにシフトしなければいけません。
まずは、ファッションへのみなさんの興味や意識が復活してくることを心から願います。
5月末の店頭、ファッションはどんなアイテム、キーワードが提案されていたのかについて、次回のコラムで書いていきます。