19世紀のウイーン出身の画家、グスタフ・クリムトの展覧会が7月10日までの日程で、東京・上野にある東京都美術館において開催されました。内容が充実していて満足する展覧会でした。
女性では、クリムトファンも多いのではないでしょうか。装飾性豊かで、ゴージャスな絵画には見る人を魅了する美しさがあって、引き込まれます。
その魅力のひとつには、鮮やかな色彩が挙げられるでしょう。特徴とも言える多配色(色と色の対比を見せている)で描かれた油絵は印象深く、きっと見覚えのあるという方が多いと思います。クリムトは途中から、金を使用した絵を書きだすのですが、いっそうなまめかしく妖艶な絵になっていったと感じます。また、クリムトは女性を好んで描いていて、柔らかな女性の曲線と服やアクセサリーを繊細で上品な色使いをもって表現しています。金と発色のよい黄・青・緑を多用していて、鮮やかです。
この色使いで、いつも金沢で発展している久谷焼の焼き物を思い出します。私は陶器にそれほど詳しくないのですが、実家が商売をしていて、商売の関連で瀬戸物を販売していました。実家で取り扱っていたのは有田焼でしたが、いろいろ見て知っていくうちに九谷焼の美しさに出会いました。釉薬に特徴があり、鮮やかな発色と緑・黄・青の配色が映えている作品が多いと思います。ちなみに、私が家で使っているお気に入りのマグカップは久谷焼のものです。
色は、人間が五感を使って情報を取得する際に遠くからでも取り込める視覚において、一番初めに認識できるものです。この色をもってクリムトと久谷焼は黄・青・緑を多用しているという共通点があります。クリムトは日本の浮世絵がヨーロッパでブームになったころに、浮世絵の影響を受けた作品を残していますが、私はクリムトは加賀の金の文化に触れたのだと勝手に思っていました。どうやら日本にきたことは無いようです。
色によって、クリムトも九谷焼も人々を魅了しているのだと思います。色は大事です。色の効果を上手に取り入れていきたいですね。